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メルト6



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初恋は叶わないものだ。


いくら女と遊びまくっていたってそこに恋愛が必ずしも絡んでいるわけじゃない。本能と感情は別、体と脳は別。



あの流れる雲のようにふわふわと俺の恋心は流れていく………。



「……………」




自分に引いた。ポエマーになってる時点で俺は相当傷心だと自ら悟り、俺は俺を労わることにした。




ようやく本気で好きだと思えた人に出会えたけど相手は年上の男。少しずつ距離を縮めていけたら…なんて自分らしくないくらい奥手になっていたら、実は相手には彼氏だかセフレがいてセックスを目撃してしまった。生では見てないけど影は見たし声はばっちり聞いた。




そりゃショックに決まってる。仕方ない。




可哀想なチョン・ユンホ。お前には療養によるメンタル回復が必要だ。自分に自信を取り戻す必要がある。




そこで、俺は荒療治により少しでも元に戻ろうと努めた。




この前とはまた別の巨乳の女に約束を取り付け、家に行くことになった。本の虫どころか本の鬼と貸すほどこの夏は読書に捧げていた俺は、読書をやめてしまい暇を極めていたのだ。




今はチャンミンさんを連想させるものは断ちたかった。




「ユノくんが家に来てくれるなんて…昨日ちゃんと部屋片付けたから安心してね」


「ああ」




駅の反対側に住むらしい女が馴れ馴れしげに腕を絡めてくる。顔もまあまあだし、相性が良ければ彼女にしてもいいかな。暇だし。




捨てたはずの過去があっさり舞い戻ってきた。



俺はまたクズに戻りつつある。


 


「ユノくん!」





 
凛とした声が背後から聞こえて足を止めた。




ああ、このちょっと舌ったらずで甘い声は………チャンミンさんの声だ。




幻聴にしてはやたらハッキリ聞こえた。




ん?




驚いてがばっと勢いよく振り向くと、息を荒げたチャンミンさんが立っていた。



「チャンミンさん…」



額に汗を浮かべたチャンミンさんが駆け寄ってきた。



「ユノくん、知り合い?」




女が首を傾げて、早く行こうと言わんばかりに俺の腕を引く。



「…ああ、うん…近所の人」


「へえ、そうなんだ」




嘘は言ってないのにチャンミンさんが悲しそうな顔をしたから、罪悪感が胸にこみ上がる。




「…どうしたんですか?チャンミンさん」


「…ユノくんのこと待ってたんだ」


「俺を?」


「家が分からなくて…もしかしたらランニングの時にこのあたり通るかもと思って……」



もごもごと話しながらチャンミンさんは俯いた。



朝のランニングはやめたから意味ないのに、朝から待ってたのか?まだ暑いのに?体調崩したらどうするんだ。そう思うとズキッと胸が痛んだ。



「…もう、ランニングしてないんで」


「そうだったんだ………」



落ち込んだように肩を落とすチャンミンさんに同情しかけた。それくらい、突然目の前に現れたチャンミンさんに動揺した。



今更どの面を下げてって気持ちと、俺を待って探してくれた嬉しい気持ちが生まれて複雑な感情になった。




会うだけでこんなに揺さぶられるなんて。




顔を上げたチャンミンさんはいつになく真剣な表情だ。この前のような冷たさは一切ない。



「…今ちょっと話せないかな?」


「今ですか?今はちょっと…」


「なんなの急に?」



隣の女が何を言ってるんだと言わんばかりに眉を寄せている。やめろ、性格の悪さが顔に出てる。


チャンミンさんは真っ直ぐ俺を見る。



「お願い」


「…無理ですよ、今から予定あるんで…。それにこの前チャンミンさん、俺と約束してたのに目の前でドタキャンしましたよね?」


「それは………」




最低なことを言ってしまった。どうしよう、傷付けたくないのにいざ目の前にするとあの光景を思い出して冷静でいられない。




「ユノ、行こうよ」




俺を呼び捨てして甘えた声を出す女。このまま行けば、この女の部屋でヤって終わりだろうな。もうそっちの方が楽か。




諦めて女と歩き出そうとすると、再度チャンミンが口を開いた。




「ユノくん…!僕ここでずっと待ってるから」


「はあ?今日は戻らないと思いますけど」


「………じゃあ明日?何時に戻ってくる?」


「……はあ…分かりました」




ため息をついて、絡みつく女の手を振り払った。




「用事ができたからお前帰れ」


「は、はあ!?」


「じゃあな」


「最低!ふざけないでよ!」




俺は喚く女を無視した。



結局、俺はチャンミンさんと同じことをしている。



でもチャンミンさんとこの女を天秤かかけるとチャンミンさんが勝っただけ。俺はこの前の天秤に負けたけど。俺はチャンミンさんを残して立ち去れなかった。惚れたから俺の負けだ。



怒り狂って立ち去る女の後ろ姿を見送って、チャンミンさんに向き合う。



チャンミンさんは呆然としていたけど、目が合うと小さくはにかんだ。俺が好きな顔だ。その顔、あの男にも見せたのか?



恥ずかしそうなのに申し訳なさそう。




「ありがとう…。無理言ってごめんね」


「俺はこの前同じことされてチャンミンさんにドタキャンされましたけどね」


「……本当にごめん……」



その泣きそうな顔も申し訳なさそうな仕草も演技?だとしたらすごい。



演技じゃないとしたら……意味が分からない。




だったら解明してやろうじゃないか。俺は偏屈だからな。




俺はチャンミンさんの手を乱暴に引いて歩き出した。







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コメント

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Re: No title

>happy925さま

腹立つのに好きだから優先してしまうユノでした…。チャンミンは駅らへんでユノを探してたみたいです^^

Re: No title

>りちさま

綺麗なお話のはずがビッチ先生なんて…話の展開ドリフトしすぎて私が一番驚いております(笑)自分の中のイメージとかけ離れたチャンミンを見てしまって動揺しまくつてるのに結局はチャンミンを優先してしまうユノでした^^うふ、ありがとうございます!

わーー読んで頂いてありがとうございます(TT)完結しておきながら名残惜しくておまけを書いてますwウヌがりち様に画像送ったらユンホさんがキレます^^多分きょとんとしたチャンミンはメイクされて薄ピンクのリップがつやつや光ってます…

Re: メルト

>momoさま

ひえ〜お待たせしてすみません!読んで下さりありがとうございます(^^)控えめに見えつつしつこいくらい追いかけてくるチャンミンいいですよね…。

いつもありがとうございます!嬉しいです★

No title

切ない(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)
チャンミンの過去に何があるの??(ノ_<)

Re: No title

>no nameさま

今更コメント返事ごめんなさい…!
衝撃を与えてしまってすみません。笑

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